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 2012年2月9日   三渓園を訪ねて

文:菅原浩太建築設計事務所 菅原浩太




鶴翔閣(旧原家住宅) 横浜市指定有形文化財
横浜市中区本牧にある三渓園。

この庭園には17.5haもの敷地の中に配されたさまざまな日本建築が庭園と一体となり、巧みに配されています。まさに古建築のテーマパークとも言える様相を呈しています。
国の重要文化財建造物10件12棟、横浜市指定有形文化財建造物3棟を含め、計17棟もの日本建築があります。
この三溪園は生糸貿易により財を成した実業家 原 三溪(本名:原富太郎)によりつくられ、明治39年に公開されました。
茶や詩、日本画や古建築などに造詣の深かった原三渓は、この広大な敷地に見事な日本庭園を築いたのです。

園内をゆっくり歩いて各建築を見学すると丸一日掛かるほどのボリュームでした。園内は起伏に富み、歩く距離も相当なものですので運動靴が必要ですね。建築を専門にしている者には見応えある内容です。
また、園内にはさまざまな花も植えられており、季節ごとに催しが開かれています。


白雲邸【横浜市指定有形文化財】



月華殿【重要文化財】
ここにある日本建築はすべて、京都や和歌山、鎌倉などから移築されたものです。
古建築というのはもともとその土地の文脈も反映するものですから、移築されることには賛否両論あるかと思いますが、忠実に再現され見事に風景に溶け込んだ姿を観れば納得させられる存在感を放っています。原三渓の日本建築に対する並々ならぬ情熱を垣間見ることができますね。
また、当時荒廃してしまっていた日本建築を忠実に復元したものもありますので、文化の継承という大きな役割も担っていると思います。

各建物は内部が公開されているものもありますので、内部も見学することができます。
さきの写真の茅葺屋根の鶴翔閣などは、結婚式や演奏会、展示会などのさまざまな催しに利用されている、「使える重要文化財」です。

横の写真の聴秋閣は園内の最奥に位置している書院造りの茶室です。森から流れ落ちてくる小川のせせらぎを聴きながら秋には見事な紅葉に彩られ、それを眺めながらの二階の茶室からの景色はじつに美しいしょう。
二階にある茶室には書院窓が設けられ、庭園の風景を巧みに借景しています。


聴秋閣【重要文化財】



旧燈明寺三重塔【重要文化財】
園内を散策している間、つねに観えているのがこの旧燈明寺三重塔です。小高い丘の上に忽然と建っており、竹藪の急坂を息を切らして登りきるといきなり目の前に飛び込んできます。三渓園を象徴する建物ですね。
こうしてみると、書院造に数寄屋の茶室、古民家や社寺建築など多種多様な建築が配されていますが、単に隣り合わせで並べられているわけではなく、広大でまた起伏に富んだ敷地の特性を利用して個々の建築の趣きを活かすように巧みに配されていますので、違和感はありません。

三渓園も戦災で大きな被害を受けましたが、その後の大規模な修復工事により現在に至っています。

最後は岐阜から移築した合掌造りの古民家です。ここは中が自由に見学できます。左の写真は2階に上がったところ。大きな小屋裏は貯蔵庫として、また部屋としても充分作業できる広さが取れているのが合掌造りの特徴ですね。雪対策の急勾配の屋根から生まれた空間です。
1階の囲炉裏の煙で燻製されて真っ黒に沁みついた小屋組みです。
まさか横浜で合掌造りが見学できるとは思っていませんでしたが、とても楽しい経験でした。

まだまだ紹介しきれないほどたくさんの日本建築がありますので、未見の方はぜひ一度訪れてみてはいかがでしょう?


旧矢箆原家住宅【重要文化財】


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